星野廉の日記

うつせみのあなたに

シンクロにシンクロする

世界同時同期

 言葉は人に似ていない。言葉は世界に似ていない。

 似ているものとして機能している。

 似ているどころか同じと思っている人がいる。

 そっくりだと思っている人がいる。完全だと思っているらしい。そっくりどころか同一だと思っている人がいても驚くには当たらない。

 似ている、ほほ同じ、等価、対応している、一対一に対応している(ほんまかいな)。ゆえに完全、そこそこ完璧(ほ、褒めすぎです)。

 そう決めただけ。まとめただけ。思っているだけ。

 生まれたらそう決まっていた。そうなっていた。何となくそれに従う。人間だもの。それが人。それがシンクロ。シンクロしない者は人にあらず。

 世界同時同期。

 同期会絶賛常時会員募集中。

 似たもの、似せたもの、似せもの、にせもの。区別不能

 言葉はにせもの。似ていないから偽物。まがいもの。まやかし。まぼろし

 でも、なぜか似ているものとして機能している。摩訶不思議。

 世界が「世界」だって? 猫が「猫」だって? 冗談は顔だけにしてほしい、私みたいに。

 スイカが「スイカ」だって? どこが似ているの? ぜったいに種があるはず。魔法ではなく手品。手品だがら種があるはず。占いに裏がないように。Suica に種がないように。

 文字は文字どおりには取れない。文字どおりに取れば馬鹿を見る。ちなみに、私は馬鹿を見たいときには鏡を見る。ときどき河馬にも見える。海馬に見えないこともない。

 言葉は代理。言葉は代わり。言葉は代表。言葉はエージェント。言葉は間諜。

 そう決めただけ。決まっただけ。決まり。極まり。きわまり。感極まり号泣。涙腺崩壊。

 似たもの、似せたもの、似せもの、にせもの。区別不能

 コピーのコピー、複製の複製、振りの振り、刷りの刷り、引用の引用、陰陽の陰陽、フリフリ、スリスリ。

 複製拡散時代では、本物と偽物のさかいが不明。起源や本物の意味も消失。

 世界同時同期。

そっくりな点がそっくり

 言葉は人に似ていない。

 文字は人に似ていない。

 文字と文字は似ている。文字同士は似ている。似ているどころかそっくり。そっくりずらりと並ぶのが文字。ここにある文字はいたるところにありうる。

 人と人は似ている。人同士は似ている。似ているどころかそっくり。

 文字と人は似ている。似ているどころかそっくり。そっくりずらりと並ぶところがそっくり。

 そっくりな点がそっくり。シンクロがシンクロする。同期が同期する。

 同期が同期してはいけませんか、社長? 一同団結して、似たり寄ったりではいけないのでしょうか?

 生き物はそっくりに同調している。

 生殖。そっくりがそっくりを産む。そっくりがそっくりを殖やす。複製。転写。変異。コピー。コピーのコピー。

 行動様式。型。パターン。身振り、表情、動き、仕草。

 生き物の生きる目的はそっくりを殖やし増やすことなのかもしれない。その結果として、そっくり同士の争いと喰いあいが起きるのだろう。

 ヒトも例外ではない。

 ヒトはそっくりに憑かれている。そっくりに疲れてもいる。

 ヒトの作るものはヒトに似ている。ヒトは自分が作るものに似ている。ヒトは自分が作るものに似てくる。

 人は言葉に似ていない。人は言葉に似てくるのだ。

 人は言葉になる。人は文字になる。人は数字になる。文字として数字として処理される。大量に処理することが可能になる。処分も可能。げんにされている。

 人は「自分に似ていないもの」として処理される。だから処分もされるのだろう。そうとしか思えない。

 そっくり、すっきり、かっきり。過不足なし。可もなく不可もなし。すっきりだから超軽量。大量の処理や処分に最適。さくさく、迅速、すみやかに、スピード感をもって。

同期に同期する

 そっくりがずらりならぶ。そっくりな動きと表情をする。

 口承、写本、印刷、複製拡散。翻訳、翻訳の翻訳、引用、引用の引用。教育、学習。通貨、貨幣、紙幣、電子マネー、デジタル通貨。知識、情報、通信。大量生産、大量捕獲、大量栽培、大量飼育。大量処分、大量破棄、大量破壊、大量〇戮。

 人はそっくりに嗜癖している。人はシンクロに嗜癖している。辟易もしている。閉口もするに違いない。勘違い平行棒。

 シンクロが好き。シンクロに目がない。シンクロにわくわくする。気がつくとシンクロを探している自分がいる。シロクロがシンクロに見える。※ぜんぶ私のことです。

 シンクロに同調する。シンクロに同期する。同期に同期する。同期に同期してはいけませんか、社長?

 何となく。なぜかは誰も知らない。考えもしない。

 日々そっくりなものを作りつづける人は、そのそっくりなものに合わせて動き、装い、食べ、生きる。

 スマホを使っている人はスマホに似てくる。スマホに自分を合わせる。テレビを見ている人がテレビに似てきたように。本を読む人が本に似てきたように。器を使う人が器に似てきたように。

 人は自分の作るものに似てくる。人は自分が使っているものに似てくる。そっくりに似てくる。シンクロにシンクロする。同期に同期する。

人はそっくりではない

 誰もが生まれたときから、外にあって、外から入って来て、中から外へ出ることもあって、思いどおりにはならないという意味で「外であるもの」。

(拙文「賭けたり、占ったり、決断するとき」より引用)

 たぶん、シンクロに歯止めは掛からない。

 シンクロもまた、言葉(話し言葉、書き言葉、広義の歌、表情、動作)と同じく、外にあってニュートラルで非人称的なものなのかもしれない。

 人は言葉に似ていない。

 人はそっくりではない。そっくりなのは言葉。とくに文字と数字。

 人は文字でも数字でもない。
 人はそっくりではない、似ているのだ。

 そっくりな点がそっくりとそっくりだが、その意味でのそっくりな点を除けば、一人ひとりが違うはず。

 そっくりを演じている、ひとりひとりは違う顔をしているではないか。

 シンクロはプレイなのだ。つまり、振り。振りの振り。シンクロのシンクロ。シンクロは、演技であり遊戯であり演奏であり競技でもあるプレイなのだ。同期ごっこ

 人だけでなく、シンクロするあらゆる生き物と物たちが、それぞれにユニークで掛け替えのない存在なのだと信じたい。